-随想『鬼平犯科帳』の掲載に当たって-

 私の団体では、お世話になっているお客様に年2回、「JTEXVOICE」という機関紙をお送りしているが、内容は教育訓練の話ばかりで堅い。そこで、平成17年の新年号から池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』について私が随想を書くページを設け、お客様に一息入れてもらっている。このたびはホームページにもそれを掲載し、ここを利用される皆様にもぜひご一読願いたいと思っている。

 第22回までは『鬼平犯科帳』132話の中から毎回1、2話を選び出し、私なりの要約を書いている。すでに小説を読んだ方もまだ読んでいない方も、この要約でしばしの間、『鬼平犯科帳』の世界を楽しんでいただければ幸いである。第23回からは、各回ごとにテーマを決めてまとめている。

 また、随想では、『鬼平犯科帳』の話の背景にある作者の考え方を私なりに調べて、なお書きで書いている。例えば、作者は19歳のとき(昭和17年)、小平の国民勤労訓練所(戦後の中央職業訓練所)に入り、萱場製作所で2年間、四尺旋盤を使って飛行機の精密部品を作った人で、そのとき体で覚えたものつくりの手順で、『鬼平犯科帳』を書いたという。このように、この小説の背景は意外に深く、皆様もこの作品から学ばれる点が多いと思う。