【電験三種Q&A(3)】「電圧降下」という現象が理解できません。

Question
「電圧降下」という現象が理解できません。電圧降下とは悪い現象なのでしょうか。また、「内部抵抗」がある電池のみ、電圧降下を考えなければならないと認識しているのですが、それでよいでしょうか。
Answer
 電圧はポンプのようなもので、電位(電気がもつ位置エネルギーのようなもの)の差で示され、これを電位差といいます。水が高い位置から低い位置に落下して水車を回して仕事をするように、電位の高さも仕事をすると低くなります。この変化した電位の差が、電圧降下です。
電圧降下が良いものか悪いものかは、電圧降下が何をしたかという観点で人間が判断するものです。逆に人間の判断にかかわらず、物理的な現象として電圧降下が存在します。たとえば、電線には電気抵抗があることから、電流が流
れると必ず熱が発生し、そのエネルギーは大気中に熱として放散されてしまいます。そしてその分が電圧降下となります。この電圧降下、すなわち発熱は使わなければ損失ですが、この発熱も大気を暖めていますから、電熱器の発熱の
ように広い意味では仕事といえます。北国では、この電線の発熱を融雪用に有効利用したりしています。
この電圧降下を電気理論で考えると、次のように定義されます。
電気回路に流れる電流をI〔A〕、回路の電気抵抗をR〔Ω〕とすると、そのエネルギー、すなわち電力はで表されます。このエネルギーを放出するとき、そこにはIR〔V〕の電圧降下が発生しています。
電池は内部に電気抵抗をもっていますから、電流が流れると、その内部抵抗により熱が発生します。スマートフォンの電池の発熱が問題になったりしますが、すべての電池に内部抵抗があると考えてよいでしょう。回路計算では、理想的に電池の内部抵抗を無視して計算する場合もあります。