JTEX 2024年 春開講の新講座紹介 /新鬼平随想録[第1話]

*2023年9月14日(木)

虫の音とともに、今年の夏もだんだんと遠のいて行くこのごろ、いかがお過ごしでしょうか。
本日は、

  • 2024年春開講の新講座(7講座)のご紹介
  • 石岡慎太郎(JTEX理事長)による池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』をもとにした「新鬼平随想録」
    第1話

について、ご案内いたします。ぜひ最後までご拝読いただければ幸いです。


JTEXでは2024年春に
『通信教育:4講座』、『eラーニング:3講座』
を新規開講し、春からのスタートダッシュを応援します!!

◆通信教育講座

生産性を高める 工場のDX
    生産工場のあるべき姿を見据え、DX推進を目指す
      目に見えないムリ・ムラ・ムダ実態をデータで顕在化し、業務を改善すれば生産性が向上し、利益を生み出すことができます。
      工場の本質的知識を身につけ、工場のあるべき姿を見据えたDXを目指します。生産管理、品質管理、実績原価管理、標準化、改善活動、保全など、ものづくりの各工程におけるDXを解説します
物流現場の改善講座~ヒューマンエラー対策
    快適な空間づくりに不可欠な「空調」と「換気」の基礎を学ぶ
      室内の空気は様々な要因で変化します。「空調」と「換気」の役割やシステムを基礎からわかりやすく解説します。
      空調と換気の重要性、代表的な空調方式や設備、ボイラや冷凍機といった構成機器の種類や特徴など豊富な図を交えて解説していきます。
      ビルなどの大きな建物だけでなく、住宅の空調設備についても知識を習得できます。
思考力アップ⤴ 大人のパズル講座
    パズル」で楽しく思考力を磨き、AI時代を生き抜こう!
      AI時代を生き抜く人間になるには、AIが苦手とする「思考力」を磨いていく必要があります。
      生き残るために必須の力は何かを理解し、パズルを解くことによって、思考力、分析力、ひらめき力を高めます。
      楽しみながら思考力を身につけることができ、パズルの解き方動画を見ることでルールが理解できます。

◆eラーニング講座

モノづくり現場の基礎~5S・安全・品質
    「5S」や「安全」、「品質」について、工場内の各職場を見ながら勉強しよう
      5Sは難しいものではなく、日常生活で当たり前にやっていることと変わりません。
      現場で必要な5Sの考え方を身の回りの物事に関連付けて学び、事務所内や工程内など様々な場面での5Sと安全について理解します。
      品質管理の重要性と日々の業務における取り組み方も学習します。
      全編、上司と部下の会話形式で楽しみながら学習ができます。
ものづくり現場で使える「中国語入門」
    製造現場で使いたい中国語が、eラーニングで学習できる
      ヒアリング学習で、中国語の音やリズムを習得。製造現場で使われる中国を学び、現地工場の中国人と、中国語でのコミュニケーションがとれるよう目指します。
      中国の生産工場へ出張するストーリー形式の教材となっています。章ごとに聞き取りの確認ができる小テスト付きです。
ものづくり現場で使える「タイ語入門」
    製造現場で使いたいタイ語が、eラーニングで学習できる
      ヒアリング学習で、タイ文字習得の前段となるタイ語の音やリズムを習得。製造現場で使われるタイ語を学び、現地工場のタイ人と、タイ語でのコミュニケーションがとれるよう目指します。
      タイの生産工場へ出張するストーリー形式の教材となっています。章ごとに聞き取りの確認ができる小テスト付きです。


鬼平犯科帳連載について

JTEXメールマガジンでは、石岡慎太郎(JTEX理事長)による池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』をもとにした「新鬼平随想録」を1話ずつお届けします。息抜きにご一読いただければ幸いです。

作者の池波正太郎氏は19歳のとき(昭和17年)、小平の国民勤労訓練所(戦後の中央職業訓練所)に入り、萱場製作所で2年間、四尺旋盤を使って飛行機の精密部品を作り、そのとき体で覚えたものつくりの手順で、
『鬼平犯科帳』を書いたといいます。
このように、この小説の背景は意外に深く、皆様もこの作品から学ばれる点が多いと思います。



第1回 浅草・御厩河岸おうまやがし

    池波正太郎が初めて長谷川平蔵のことを書いた小説は、昭和39年の『江戸怪盗記』(週刊新潮1月6日号)であった。

    寛政3年、商家を襲い、婦女子を犯し、大金を奪う葵小僧一味が跳梁したが、火付盗賊改め方長官長谷川平蔵が巡回中犯行後の葵小僧を見付け、十手で脳天をなぐりつけ、逮捕した。

    ただし池波はまだ長谷川を「鬼平」と書いていないし、「密偵」も登場していない。

    二度目の小説は、翌40年の『看板』(小説新潮夏季特別号)であった。これに後の『鬼平犯科帳』に出る本格の盗賊が守るべき3ヵ条(原文のまま)、

    1.盗まれて難儀するものへは、手を出すまじきこと。
    2.つとめをするとき、人を殺害せぬこと。
    3.女を手ごめにせぬこと。

    が初めて書かれ、これを守る盗賊夜兎の角右衛門が登場する。

    寛政元年、その夜兎は町で女乞食が拾った大金を落とし主に返すのを見て感心し、料理屋で鰻をご馳走するが、女の右腕が無いのは、7年前商家へ盗みに入った時、部下が3ヵ条を守らなかった所為と知り、また女が念願の鰻を食べて満足し、翌日自殺したことも知り、長谷川に自首する。しかし夜兎は処刑されず、以後盗賊の情報を長谷川に知らせる役を務める。

    そして、三度目の小説が42年の『浅草・御厩河岸おうまやがし』(オール読物12月号・『鬼平犯科帳』第1巻文春文庫)である。これが大好評を博したため、翌年の新年号から『鬼平犯科帳』シリーズが始まり、その第1話が『唖の十蔵』となったので、この浅草が今では第4話とされているが、実質的には第1話といっていいと思う。

    そんな「第1話」が越中にまつわる物語であることは実に興味深いことである。

    先ず越中生まれの盗賊が3人も出てくる。1人目の卯三郎は越中伏木の生まれで3ヵ条を守る本格の盗賊であったが、今は中風で寝たきりとなり、息子岩五郎の世話になっている。2人目の岩五郎は高岡で生まれ育ったが、結局父と一緒に働く盗賊となった。だが火付盗賊改め方の与力・佐嶋に父とともに逮捕され、その「手先」「いぬ」となっている。3人目の海老坂の与兵衛は高岡の海老坂生まれの3ヵ条を守る本格の大盗賊で、先の二人をよく知る。

    寛政元年、居酒屋をしている岩五郎は海老坂に今度の「おつとめ」で錠前はずしを頼まれ、承知する。その日が近づくにつれ、海老坂に次第に心服する岩五郎も意を決し、佐嶋に密告するため連絡を取るが、その直後海老坂は「おつとめ」の無期延期を告げる。岩五郎は今更連絡を取り消すこともできず、結局佐嶋に密告し、海老坂が逮捕された夜、一家をあげて夜逃げをする。

    もう一つは、長谷川が一家を追って、処分しようとする部下を押しとどめ、「岩五郎が越中のどこかの町で、中風の父親と盲目の義母と、女房と子と、安穏に好きなどじょう汁をすすってくれるような身の上になってくれることだな」というのである。

     池波は「第1話」を発表する直前の昭和42年8月に能登から自動車で高岡を訪ねているが、その際、海老坂や伏木の地名を知り、また高岡で小指ほどの泥鰻を鍋にして食べておいしく思い、これらを小説に生かしたのだと思う。そうしたのは、随筆『越中・井波』(小説現代昭和57年3月号)によれば、池波の先祖は天保の頃江戸へ移った私の故郷、越中・井波の宮大工であり、早くから越中の地や人に特別の感情を抱いていたからである。




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2023年9月14日