JTEXの人材育成講座特集 /新鬼平随想録[第23回]

*2024年2月29日(木)

日差しに春の訪れを感じる季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか?

本日は、

  • 人材育成講座および心身ともに働きやすい職場づくりやドラッカーに関する講座
  • 石岡慎太郎(JTEX理事長)による池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』をもとにした「新鬼平随想録」
    第23話

について、ご案内いたします。ぜひ最後までご拝読いただければ幸いです。

JTEXの人材育成講座特集

2月の29日がある年のことを「うるう年」といい、4年に一度やってきます。世の中的には、「(夏季)オリンピックの年」ともいわれ、世界的なスポーツの祭典が行われます。各国の代表選手がメダルを目指して真剣勝負で競う姿は、見る方も熱狂するものでございます。4年前の2020年は東京(日本)で行われましたが、かの新型コロナウイルスの感染拡大で翌年に延期となり、2021年に開催した2020年東京オリンピックはほとんどの試合が無観客でした。状況が状況だけに致し方がないとはいえ、見ている方としてはいささか興醒の感もございました。

それはともかく、出場する選手してみれば、4年に一度の晴れ舞台での活躍を目指して長い年月をかけて厳しいトレーニングを積んできたものでございます。どんな形であれ、世界一を目指して競い合うことは選手にとっての大きな経験となります。また、選手を育成してきたコーチやスタッフも、自分たちが育てた選手の成長を見てみたいものでございます。

スポーツの世界に限らず、自分が育てた人が成長して活躍する姿を見ることは、自分のこと以上に嬉しいものでございますが、そのようなことは稀であるのも人材育成でございます。教わる側と教える側がいてはじめて育成が成り立ちます。お互いのことを知ることで、よい人材育成ができるともいわれますが、そこは人間同士、相手あってのことですので、そううまくいかないのが現実です。
ビジネスにおいても新人や部下の育成に頭を悩ませている上司は多くいます。近ごろの新入社員は、周囲の評価を気にしながら学校生活を送ってきたことが多いせいか、自己肯定感が低いといわれています。このような新人に「自己肯定感を高くもて!」と自己肯定感を低くするようなことを言っても指導にはなりません。どのようにしたら、部下の自己肯定感を引き出すことができるのか、それが人の育成というものと思います。




JTEXには、そんな自己肯定感を引き出す部下育成の講座として、「自己肯定感を引き出す部下の育て方」がございます。


↑こちらから詳しい内容や電子ブック、
YouTubeなどご覧いただけます 

 

また、近ごろは何かにつけハラスメントといわれ、厳しく教えることが難しい時代となりました。叱るよりほめて育てるという風潮もございます。叱られるよりはほめられる方が、教わる方が気分はいいものでございますが、ほめられてばかりいても味気ないものでございますし、ほめる方もほめる所がないのにほめなきゃいけないとなると、嘘をつくようで心苦しいものでございます。アメとムチとでもいいますか、ほめたり叱ったりしながら教えていく、それが人材育成というものかと思います。



仕事の上で部下に対してどのようにほめたり叱ったりして教えていけばよいのか。そんなことを学べる講座が「仕事の教え方 ほめ方・叱り方の極意」です。
ほめたり、叱ったりするきっかけを学び、緩急つけた指導方法が学べます。


↑こちらから詳しい内容や電子ブック、
YouTubeなどご覧いただけます 

 

 ただ、部下の育成に入る前として、部下を育成するには部下が上司の話を聞き入れてくれる環境、いわゆる「心理的安全性」のある環境が重要だそうでございます。部下・上司の立場を超えて、メンバーが何でも言いあえて聴いてもらえるような職場づくりが、人材育成に大きな影響を与えるといわれています。



「心理的安全性」をテーマとして、JTEXでは「マンガで学ぶ「心理的安全性」~働きやすい職場づくり」を開講しています。


↑こちらから詳しい内容や電子ブック、
YouTubeなどご覧いただけます 

 

このような、心身ともに働きやすい職場づくりをする取り組みは「健康経営」というそうで、さまざまな人に気持ちよく、そして長く働いてもらえるよう、現在では注目されているものでございます。
JTEXでは、「マンガで学ぶ「心理的安全性」」の他に、以下のような健康経営のジャンルの講座を揃えています。

「健康経営」ジャンルの講座

「ドラッカー」に関する講座

そもそも、何のために人材を育成するかというと、成果をあげるために行動できる人を育てるということにあります。これはマネジメントを発明した人物として知られる、P.F.ドラッカーの言葉にもあります。ドラッカーのマネジメント論は、会社の経営はもちろん、ビジネスパーソンを育てるためのポイントも知ることができます。
そんな、ドラッカーに関する講座は、JTEXには3コースあります。
どの講座も、ドラッカー学会会員で株式会社TMAコンサルティングの浅沼宏和先生のご執筆したテキストで学習します。

「人材育成」に関する講座

以上がJTEXの人材育成講座でございます。
ぜひ一度受講してみてはいかがでしょうか。



鬼平犯科帳連載について

JTEXメールマガジンでは、石岡慎太郎(JTEX理事長)による池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』をもとにした「新鬼平随想録」を1話ずつお届けします。息抜きにご一読いただければ幸いです。

作者の池波正太郎氏は19歳のとき(昭和17年)、小平の国民勤労訓練所(戦後の中央職業訓練所)に入り、萱場製作所で2年間、四尺旋盤を使って飛行機の精密部品を作り、そのとき体で覚えたものつくりの手順で、『鬼平犯科帳』を書いたといいます。
このように、この小説の背景は意外に深く、皆様もこの作品から学ばれる点が多いと思います。



第23回 番外編 乳房(上)

    天明元年8月17日、浅草田原町の足袋問屋加賀屋の女中で19歳のお松は、加賀屋の娘お千代のお供をして池ノ端の小間物屋丁字屋へ入った。お千代が買物に熱中している間、ふと外をみると店の前を勘蔵が通り過ぎた。
    勘蔵はお松が17の時に好きで一緒になった深川の腕の良い煙管職人であった。一生懸命尽したが、彼は1年前「お前は不作の生大根のような女だ」とののしり、姿を消した。捨てられたお松に同情した人達が加賀屋で働けるようにしてくれたのである。

    お松はすぐ外へ出て憎悪に未練が入り混じった想いで後をつけると、勘蔵は入谷の百姓家へ入った。戸が開け放しになっているし、周りに人もいない。お松は中を見たくなり、恐る恐る入っていくと、勘蔵が部屋でいびきをかいて熟睡している。それを見てお松は少し落着き、家の中を見まわした。

    台所に、鍋釜がある。部屋にたんすもある。鏡掛けもある。そして壁には女の着物が掛っていた。それを見た瞬間、全身の血が頭に昇り、お松はたんすの中から絞りのしごきをつかみ出し、男の首に巻きつけ、胸の上にまたがり、力一杯左右に引き張った。

    お松がわれに帰った時、勘蔵は息絶えていた。腰がぬけ、勘蔵の傍にへたり込んだまま、動けなかった。長い時間が経ち、驟雨しゅううが来て、稲妻が走り、雷鳴が近づく。お松は喉の渇きを覚え、立ち上り、たっぷりと水を飲んだ。これが次の行動を生んだ。ここにいては捕まる、捕まれば死刑だ。お松は雷鳴が轟く中、外へ走り出た。
    翌日の午後、下谷茅町で小間物屋をしている長次郎が下北沢の叔父の病気見舞の帰路、駒場野へ来ると、気を失った女(お松)が倒れていた。ひどい熱がある。長次郎は道玄坂の知り合いの茶店へ女を担ぎ込み、老夫婦に一両を出して世話を頼み、明後日くるからといって帰っていった。お陰でお松は夜になって正気に戻った。
    同じ日、西の丸書院番をやめて待命中の長谷川平蔵が小川町の妻の実父の病気見舞の帰途、急に駒形の御用聞の三次郎に会いたくなった。若かりし日、平蔵は継母から憎まれ、本所の家を飛び出し、無頼の群に身を投じていた時期がある。その時三次郎は町民を苦しめる無頼の徒を懲らしめる平蔵をお縄にしても、いつも意見をして釈放してくれていたのである。

    久し振りに再会した平蔵は、昔の口調で、親分、今日は何か悪い事件が起きたのかと尋ねると、三次郎は加賀屋のお松の事件をあげた。詳しく聞くと、お松は深川の漁師の娘で、左頬に酔った父親が庖丁で切りつけた傷跡がある、17の時父親が死に、魚貝を売って1人で暮していたが、深川の煙管師勘蔵という悪い男にひっかかった、そいつがまたお松をそそのかし、一緒に逃げたのだと思う、とのことであった。
    屋敷に帰った平蔵はすぐ亡父が収集した煙管を調べたところ、やはり深川の勘蔵作の煙管があった。ただ年代からみて、今の勘蔵はこの勘蔵の息子であると思われたので、平蔵はすぐ手紙を書き、三次郎に知らせおいた。
    それから半月後三次郎が平蔵の屋敷を訪ねてきて、お松をひっかけたのは、やはり先代の勘蔵の倅であったが、その頃勘蔵は労咳(結核)が進み、やけになって大酒を飲み、仕事もしなくなってしまった。しかしお松はそんな男の世話を本当によくしていたと報告をしてくれた。これを聞いた平蔵は、「なあ親分、お松のような女は昔から絶えたことがない。今の世では、損をするのが女ばかりだ」と三次郎にしみじみというのであった。(以下次号に続く)
    (『乳房』昭和59年文芸春秋刊)




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2024年2月29日